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2007年6月16日

公開講座「絆といのち」開催

2007年6月16日・土曜日、神戸女子大学・神戸女子短期大学ポートアイランドキャンパスで、「絆といのち」をテーマに公開講座を開催しました。

これは、神戸ポートアイランド4大学開学記念のシリーズ公開講座の一つとして開催したものです。

次のプログラムで行いました。

【第1部】 [神戸女子大学健康福祉学部]

  • 講演「高齢期をいきいきと生きる」
  • 大学の取り組み紹介「介護・保育の今日」(展示・講演など)

【昼食】 「沖縄神戸女子短期大学食物栄養学科の郷土料理」を味わっていただきました。

【第2部】 神戸女子大学古典芸能研究センター

  • シンポジウム「時空をこえて―沖縄祭祀と祈り」

基調報告、記念講演、琉球舞踊、パネルディスカッション午前午後に渡り、それぞれの催しに多数の方々にお出でいただき、大盛況でした。

第2部のシンポジウム「時空をこえて−沖縄祭祀と祈り」について。

神戸女子大学古典芸能研究センターは、20年近くかけて集めてきた沖縄県内の多彩な祭り26種類31件・8000点にもわたる写真とその関係資料を、5年の年月を費やして「沖縄祭祀データベース」として完成させて、この度一般公開しました。

このシンポジウムでは、データベース公開記念として沖縄の祭祀をキーワードに、人々の生死感や「まつり」の中に生きている人々の心の絆を、様々な視点から触れていきました。

記念講演では「おもろさうし」研究の第一人者である琉球大学名誉教授の池宮正治先生が、「おもろ」の語源や神歌としての意義や歌詞の内容・文法などと共に祭祀のなりたちまで触れられて話されました。古琉球時代は王の長命・延命を祈念する内容のものが多いことや、現在1554首が22巻に納められているが、「節」をキーワードにして約200のグループに分けることができることなど興味深いお話を伺いました。

また、甲南大学教授で古典芸能研究センターの客員研究員である高阪薫先生からは、祭祀そのものがもつ秘儀性・超越性について、神迎え・神人儀礼・神遊び・神送りと進行する祭祀儀礼の中でも、神迎えを中心にして、祭祀が行われる場が持つ生死の時空を越えた霊性(スピリット・アニマ)について、楽しくわかり易くお話いただきました。

沖縄の信仰は、祖霊崇拝と洋上の彼方に豊穣を憧憬するニライ・カナイの信仰であることなど神秘的なお話でした。

琉球舞踊では、宮中の限られた人々の前で舞う祝儀舞として振り付けられた「四ツ竹」を仲村米子さんが、明治以降庶民の間で舞われた「カナヨー」を大西智子さんが披露してくださいました。

色鮮やかな花笠に美しい紅型装束で舞われる静かで威厳に満ちた古典舞踊と、またこれとは対照的に紬の衣装で軽快で楽しく舞われる庶民舞踊とに、参加者全員が魅せられました。

パネルディスカッションでは、古典芸能研究センター兼任研究員でもある神戸女子短期大学の武藤美也子教授(上代日本文学・沖縄民俗学)が司会を務め、ご講演を頂いた池宮先生・高阪先生のほか、民俗音楽と芸能をご専門とされる沖縄県立芸術大学の久万田晋教授と本学史学科の知名定寛教授(琉球仏教史)・川森博司教授(民俗学・文化人類学)が加わり、各自の専門分野から見た沖縄祭祀に纏わる研究内容や秘められた精神性について熱のこもったお話が繰り広げられました。

なかでも久万田先生は、「まつり」につきものの歌や踊りと芸能とのかかわりについて触れられ、沖縄舞踊の振りである「こねり」を披露してくださり、それに合わせて参加者も一緒に実演するなど、専門的なお話にも関わらず、和やかで楽しい空気に包まれたひとときとなりました。

知名教授は実地探索に基づいた祭祀の儀礼と村の構成についての深い関わりについて、川森教授からは「面」や「仮装」などの祭儀から本土の祭との相似点などについて興味深い話が行われました。

知名教授からは戦前から戦後にかけての沖縄と神戸の関わりについて話があり、「沖縄の人々にとって故里と自分達を繋ぐ玄関の役割を果たしたこの神戸の地で、「沖縄」について多くの方々と語り合えたことを大変意義深く感じ、感慨深い思いです。これを機会に沖縄についてもっと興味をお持ちくださり、人々の交流が深まることを願っています。」というコメントがありました。

最後に武藤教授が「私達がこれまでの研究活動をデータベースにまとめたのは、貴重な資料を保存するというだけでなく、人々の生きた証と歴史を「祭祀」という精神世界を通して次世代へ繋いでいきたいと考えたからです。今はもうすでに過去の原風景といえるであろう祭祀の写真を通して、まさに時間と空間を越えて時代の変遷と共に移り変わっていく人々の心や価値観を、データベースをみていただくことで今一度見直し、いのちの大切さと生きる上で大切な絆を考える機会としていただければ嬉しくおもいます。」と結ばれ、4時間に渡るシンポジウムは幕を閉じました。

最後まで熱心にご参加いただきました参加者の皆様に感謝申し上げます。

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※古典芸能研究センターは三宮・生田神社の北・中山手通りの山側に位置する神戸女子大学教育センターにあります。一般の方にもご利用いただけますのでご希望の方はご連絡ください。詳細はホームページをご覧ください。

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