HOME学部学科・大学院・専攻科史学科史学科のEvents2007年度 > Events詳細

学部学科・大学院・専攻科

史学科のEvents詳細

2008年2月26日


史学演習Ⅰ日本宗教史(知名)ゼミ熊野三山古道踏破史跡見学研修

去る2月24日・日曜日から26日・火曜日にかけて「熊野三山古道史跡見学研修」と題するゼミ旅行を実施しました。後期から始まった史学演習Ⅰ(2年生日本宗教史ゼミ=知名教授担当)のゼミ生は総勢2名。いずれも個性豊かな私達です。

ゼミでは「学生の主体性を重んじる」という先生の方針で、講読する史料を私たち学生が選択することになっており、個性豊かな2人で相談した結果、「後鳥羽院熊野御幸記」を精読して、熊野信仰と熊野三山参詣の様子について勉強することに決めました。「後鳥羽院熊野御幸記」は建仁元(1201)年10月5日から26日にかけての参詣の様子で、随参した藤原定家による記録です。したがって『明月記』にも同様の参詣の様子が記録されており、両者を対照しながら輪読が進められました。後鳥羽院は4度目の参詣ですが、藤原定家にとっては初の参詣でした。

藤原定家らは中辺路を通って最初に本宮を参詣し、熊野川を船で下って新宮を、そして那智大社を参詣するという巡路でしたが、私達は交通手段の関係で最初に紀伊勝浦から那智大社と青渡岸寺、次いで新宮に詣で、最後に本宮参詣というように逆の巡路で参詣しました。それは中辺路の発心門から本宮までの古道を歩くという予定だったからです。

出発前日まで暖かい天候だったのですが、この三日間はまた真冬に逆戻りする寒さで、特に初日の那智詣では身を切るような寒さでした。それでも二日目は天気もよく、発心門からおよそ8キロ、時間にして約2時間を無事に踏破することが出来ました。比較的初心者向けの古道と聞いていたのですが、都会生活にドップリつかっている私達には結構きつい道のりでした。途中の各王子では、「御幸記」を読み直しながら、悪戦苦闘した藤原定家の心持ちに想いを馳せ、たんに史料を読むだけではなく、史料に込められた熊野詣の世界を実際に追体験できたことは、今後の私達の研究にとても有意義であると実感しました。古道踏破の様子をご報告いたしましょう。

那智の滝で先生と一緒に記念写真

那智の滝で先生と一緒に記念写真です。日本一と云われる那智の滝は遠目から見る優美さとは裏腹に、眼前での光景は圧倒的な自然の力を見せつけているようでした。15時頃に滝前に詣でた藤原定家は、険阻な参詣路を明け方から何も食べずに来たので「無力極無術」と言ってます。よっぽどお腹が空いてたのでしょうね。


 

青岸渡寺

青岸渡寺にお参りをしました。この寺は西国33ヶ寺巡りの一番の札所でもあります。多くの観光客で賑わっていました。隣のイケメンの青年たちも神妙にお参りしてましたので、思わずハントしようかなと、ちょっと思っただけでした。


 

補陀落山寺

那智から勝浦に戻って補陀落山寺を訪ねました。この寺は補陀落渡海で有名なお寺ですが、意外に訪れる人は少なく、閑散としてました。境内に渡海した僧侶や信者の名前が刻まれた石碑があり、観音浄土に憧れる信心の深さに思いを馳せました。


 

復元した渡海船

補陀落浄土を目指した人達が乗った渡海船の復元です。これに僅か2・3日分の水・食料を携えて入定したと云います。先生によれば、沖縄にも渡海僧が漂着した話があるそうです。でも、黒潮に乗れば北太平洋に流れるから、沖縄には奇跡でないと漂到は難しいとも言ってました。


 

近年建立されたという大鳥居

本宮跡の大斎原に向かう個性豊かな私たち二人。近年建立されたという大鳥居です。それにしても大きい!個性豊かな私たちであっても、まるで米粒のようです。雄大な熊野川の中で木々が生い茂る中州に畏怖の念を抱いたのでしょうか。


 

本宮社殿跡

本宮社殿跡にたたずむ個性豊かな私たち二人。基壇の跡に記念碑が建てられていましたが、往時を偲ぶにはちょっと寂しい感じがしました。1889年に大洪水で流されたということです。すぐに流されそうな場所になぜ建てたのでしょう。現在の本宮はその後の再建です。


 

中辺路の発心門王子

中辺路の発心門王子に到着しました。バスがなかったので思い切ってタクシーで到着。予算オーバー!藤原定家は「紅葉翻風、宝殿上四五尺、木無隙生、多是紅葉也」とこの辺の情景を描写してます。この旅のメインイベント、本宮まで徒歩で行進です。イザ!出発!!


 

藤原定家もヒーヒーと言いながら歩いた古道

藤原定家もヒーヒーと言いながら歩いた古道。この行進で私に最大の悲劇が降り注ぎます。実は前々日にウィルス性胃腸炎と診断されていたのです。道中激しい吐き気に苛まされ、持病である咳病でやはり道中大変な思いをした藤原定家と同じ体験をする羽目になってしまいました。爽やかな野道を歩く2人のうち、私はどちらでしょう。


 

伏拝王子から遠望する本宮の里

伏拝王子から遠望する本宮の里。長い道のりを経てようやく本宮を拝めたとしたら、その感動はすさまじいものだと思います。それでもようやく予定の半分です。眺望はすばらしい景色でしたが、あの里まで歩くのかと思うと、いささかウンザリしましたが、藤原定家も苦しいなかを頑張ったのだから、私たちも頑張るわ・・・・


 

本宮に到着

ついに本宮に到着しました。この喜びは何とも言えません。藤原定家もこんな気持ちだったのでしょうか。昔の人は健脚! 偉い! 藤原定家のような体の弱い貴族に負けているように思えて情けないとも感じました。


 

潮岬での記念写真

熊野三山巡りの合間に、潮岬に行きました。突端に立って左右を見渡せば三方が全て海で、地球は確かに丸いということを実感しました。水平線をあんなに広く見たことは今までありませんでした。ここで先生が記念の写真を撮ってくれました。先生のセリフ「この2人危険につき・・・・」


 

鯨の刺身とベーコン

初日の宿舎での夕食に、今では珍しい鯨の刺身とベーコンを試食してみました。とても美味らしいのですが、胃の不調のため私は食べられませんでした。先生の話では、子どもの頃は学校の給食にも鯨のフライが出たそうです。


感想
ゼミ生T
ゼミ旅行で訪れた熊野三山や古道で、文章を読むだけでは想像しえない世界を知ること、感じることができ、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。
ゼミ生S
今回の旅行では、自然の大きさと、当時と現代を比べて考える機会を与えてくれました。史料に基づいて現地を見ることの重要性と、生活の違いから思想の違いまで、いくらでも考えることはあると実感しました。

 

▲2007年度トップへ ▲ このページのトップへ