ブックタイトル神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

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神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

- 6 -世帯属性要因が食の簡便化におよぼす影響について素材の所得弾力性は、いずれの年齢階級においても1より小さく必需財的性質を示した。そのなかでも、30歳代までの世帯主の若い年齢階級の所得弾力性は他の年齢階級よりも低く、25-29歳では0.6180、30-34歳では0.6887、35-39歳では0.6744を示した。簡便化食品の所得弾力性も素材と同様に、1より小さく必需財的性質を示した。40-44歳の所得弾力性は、他の年齢階級よりも小さく0.5351であった。素材と簡便化食品の所得弾力性の大きさを比較すると、ほとんどの年齢階級(40-44歳と60-64歳を除く)において、素材よりも簡便化食品のほうが大きくなっており、所得変化に対する反応がより大きいことが明らかになった。中食の所得弾力性も内食(素材、簡便化食品)同様に、いずれの年齢階級において1より小さく必需財的性質を示した。外食の所得弾力性は、いずれの年齢階級とも1より大きく、ぜいたく財的性質を強く示した。最も外食の所得弾力性が高かったのは40-44歳で2.1763であったが、30歳代後半以上のすべての年齢階級において2前後の高い所得弾力性を示し、所得変化に対して非常に大きく反応することが示された。また、30歳代前半までの世帯主の若い階級の所得弾力性は他の年齢階級よりもやや小さく、25-29歳では1.7959と30-34歳では1.8241を示した。中食は外食とともに、内食の代替財として食の外部化を促進させてきたが、所得弾力性からみると、中食と外食とでは必需財とぜいたく財という異なる性質をもつことが分かった。中食は長引く景気低迷のなかで、外食ほどお金をかけずにすみ、しかも小規模化する世帯においては、調理の際に発生する食材の無駄もない効率的な食事形態として食生活に定着しているため、必需財という性質を示したのであろう。(7)式より求めたMarshallの価格弾力性の推定値は、表3に示すとおりである。自己価格弾力性については、内食(素材、簡便化食品)、中食、外食にかかわらず、多くの年齢階級で有意であるがプラスの値を示し符号条件が合わないものがみられた。交差価格弾力性については、70歳以上の世帯を除くすべての年齢階級において、中食と外食の間で代替関係を示した。中食も外食もともに食の外部化により増加してきたので、代替関係を示したのであろう。また、30歳以上のすべての年齢階級において、素材と外食の間で補完関係が認められた。食の外部化は内食に替わり中食や外食が増えるという現象であることから考えると、素材と外食との間に補完関係があるというのは予測に反する結果であった。外食が増えると野菜不足になり栄養バランスが偏りやすいので、意識的に素材を増やそうとしているようなことも影響しているのではないだろうか。代替・補完関係という観点からみると、従来みられたような、内食(素材、簡便化食品)に替わって中食と外食へという関係から、より複雑な関係になってきているように思われる。