ブックタイトル神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

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神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

-2 -世帯属性要因が食の簡便化におよぼす影響について1. 緒言最近の食料消費において、簡便化や外部化が著しく進行している。この背景には、少子高齢化や晩婚化が進み、家族が小規模化していることや、女性の社会進出による有職主婦の増加などが影響している。家庭内で調理して食べるという行為には、規模の経済が働きやすく、そのため大家族ほど1人当たりの費用が少なくてすむ。近年、世帯規模(1世帯当たり人員)は縮小の一途をたどり、2015年には2.33人(総務省統計局「平成27年国勢調査」一般世帯の1世帯当たり人員)にまでなった。小規模化した家族においては規模の経済が働かず、そのため食材を購入し家庭内で調理して食事をするという内食が減り、中食や外食が増えることになる。また、共働き世帯数が専業主婦の世帯数を上回り(総務省統計局「労働力調査詳細集計2015年」)1、女性の賃金(一般労働者)も増加傾向にあり2015年には過去最高(厚生労働省「平成27年賃金構造基本統計調査」)2となった。女性の社会進出にともない女性の機会費用が増加すると、家事労働の外部化がいっそう進行し、調理することよりも中食や外食を選択する傾向が高まる。この他、年代により食習慣が異なり、若い世代ほど食の外部化傾向が強くなるという傾向もある。本研究では、女性の社会進出や世帯規模の縮小に加えて、世帯主の年齢階級などの世帯属性要因が食の簡便化にどのような影響をおよぼすかについて明らかにすることが目的である。関連する先行研究では、機会費用と食料消費における外部化との関係を明らかにしたもの1)2)や食料消費のおける世帯規模効果を証明したもの3)などがある。本研究が対象とする「食の簡便化」には、弁当や惣菜を買ってきたり外食をしたりすることによる調理の直接的な外部化だけでなく、調理の手間をかけたくないという食品選択も含む。食の外部化は、食料消費に占める内食の割合が低下し中食と外食の割合が上昇することを意味するが、内食の中にも調理の手間のかからない食品が選ばれやすいという簡便性を求める傾向も進んでいる。そこで、内食を調理の手間という観点から、素材と簡便性の高い食品に分け、それに中食と外食を加えて簡便化の進行の実態についてみていく。さらに、世帯主の年齢階級や世帯規模(世帯人員数)、主婦の就労等の世帯要因が、内食(素材、簡便化食品)・中食・外食の消費行動にどのように影響しているかについて明らかにするために、LA/AIDSモデルを用いた需要体系分析を行うこととする。2. 食料消費における簡便化の進行先述したように、食の簡便化には直接的な食の外部化と、調理の手間をかけたくないという食品選択が含まれる。はじめに、直接的な食の外部化の実態について概観しておく。食の外部化というのは、食料消費において内食が減少し、代わりに中食(調理食品)と外食の利用が増加するという消費形態の変化であり、外部化率によりとらえることができる。図1に示すとおり、外部化率は1963年には10.1%(中食比率3.0%、外食比率7.1%)であったのが、80年代に20%台に入り、2001年には30%を超え、さらに上昇し2015年には33.3%(中食比率12.5%、外食比率20.8%)にまでなった。近年は、長引く経済不況による消費者の節約志向が高まり外食比率の伸びが停滞するなかでも、中食比率は堅調に上昇を続けている。このように食の外部化率が上昇してきたということは、同時に内食に対する支出比率の低下を意味するが、内食のなかでも調理の手間のかからない食品が選ばれやすいという簡便性を求める傾向も進んでいるものと1  専業主婦世帯数(夫が非農林業雇用者、妻が非就業者)687万世帯に対し、共働き世帯数は1,114万世帯(夫、妻ともに非農林業雇用者)にのぼる。2 女性の月額賃金(2015年6月分)は、242.0千円(40.7歳、勤続9.4年)であった。