ブックタイトル神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

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神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

- 59 -【背 景】一般に、野菜や果物などの種子、表皮、切れ端などは日常的な廃棄物として処分されている。このような食品廃棄物の有効利用を推進するため、農林水産省は環境負荷が小さく循環を基本にした循環型社会の形成を目指して「食品リサイクル法」を策定した。また、消費者庁も、食材の無駄を少なくするレシピを提供するための料理サイトを設けているが、これら食品廃棄物はその多くが肥料や家畜用飼料として利用されているのが現状である。もしこのような廃棄される部分に含まれる成分に人の健康生活に有用・有益な働きのある活性・成分を見出すことができれば、循環型社会の形成の一助となるはずである。既に報告されているように野菜や果物の廃棄部分には、食物繊維やポリフェノールが多く含まれ、両成分ともに人の健康におおいに役立てられている。これら成分の簡易な抽出方法を工夫して、今後の循環型社会で役立つ食品への展開の可能性が期待されている。【目 的】食物繊維やポリフェノール含量が比較的多いとされるものとして、廃棄率(55%)が非常に高い実エンドウに焦点を当てた。特に実エンドウの莢に含まれる食物繊維にはビフィズス菌増殖活性があることやポリフェノールにも抗酸化活性があるとの報告がある。しかし、生体内における実エンドウの莢の活性については未だ報告がない。この実エンドウの莢の成分が生体内でいかに作用し、さらに生体にどのように影響を与えるかを明らかにするため、オートクレーブ抽出法を用いて莢の食物繊維とポリフェノールを同時抽出し、この抽出物を用いて動物実験を行い、新規な健康補助食品としての可能性を検討した。【方 法】実エンドウの莢を凍結乾燥させ、0.5mm以下の乾燥粉末100gに2 Lの蒸留水を加え、120℃、30分でオートクレーブ抽出を行った。抽出濾液は再び凍結乾燥し、粉末にし、Autoclaved Extract(AE)とした。動物実験は、AIN‐93Gを基準としたControl群、ポジティブコントロールとしてスクロース25%とした飼料をHS(High Sucrose)群とし、さらにHS食にAEを3%添加したHS+AE群を設定した。4週齢のSD系雄性ラットを使用し、3日間の予備飼育後に28日間精製飼料を与えた。糞便測定のため、解剖4日前から糞便を採取した。18時間の絶食後に解剖を行い、静脈血、肝臓、生殖器周囲脂肪、盲腸を採取した。血糖値、血清中脂質(トリグリセリド;TG、総コレステロール;TChol)の測定には、既存のキットを用いた。また肝臓中脂質(総脂質、TG、T-Chol)及び糞便中脂質(総脂質、TG、T-Chol)、糞便中総胆汁酸については脂質画分抽出後、既存のキットで測定した。In vitroでは、AEによるリパーゼの活性阻害及びコレステロール吸着作用を調べた。ラット盲腸内でのbifidobacteriaの増殖促進効果についてbifidobacteria菌株に対する増殖の違いも検討した。実エンドウの莢のオートクレーブ抽出物による血清脂質改善効果博士後期課程(食物栄養学専攻) 稲垣 佳映