ブックタイトル神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

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概要

神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

- 67-【背景・目的】真昆布(Laminaria japonica)は褐藻綱の藻類であり、機能としては血清コレステロール値低下作用、血圧上昇抑制作用などが知られている。私たちは、腎血管性高血圧モデル(2-kidney, 1-clip Goldblatt hypertension; 2K1C)ラットにおける昆布単独及び昆布と食酢の組み合わせの継続的経口摂取による血圧上昇抑制効果を観察し、現在、この効果について細胞間粘質多糖であるアルギン酸の関与に焦点を当ててメカニズムを検討している。昆布と食酢を共に別々の経路で摂取する場合、体内での血圧調節機構に対するそれぞれの作用の相乗効果が起こる可能性が考えられるが、これとは別に、食酢による加工食品として摂取する場合は、食酢による昆布成分の分解・変性による影響が起こる可能性がある。その影響が明らかになれば、昆布単独摂取による血圧上昇抑制効果のメカニズムの解明の手掛かりになる可能性もある。そこで、本研究では、この影響の有無を検証するために、2K1Cラットに昆布と食酢をそれぞれ飼料と飲水に混ぜ個別に摂取させた場合と、それらと各々同量を用いて昆布を食酢に浸漬したうえで併せて投与した場合との血圧上昇抑制効果を比較した。さらに、食酢による昆布成分の分解・変性として、アルギン酸の低分子化に焦点を当て、昆布、及び食酢に浸漬した昆布中のアルギン酸をアルギン酸ナトリウムとして抽出し、その分子量分布を比較検討した。【方 法】SD系雄ラット6週齢時に2K1C群を作成し、コントロール食(CTL)群、5%(w/w)昆布添加食(K)群、5%(v/v)食酢添加水(V)群、K+V(KV1)群、食酢浸漬昆布添加食(KV2)群とした。KV2群の飼料は、標準粉末飼料に対して5%量の昆布を5%食酢添加水(V群、KV1群と同量)に14時間浸漬した後に凍結乾燥したものを添加して調製した。対照としてSHAM群を作製し、CTLを与えた。飼料を術後6週間摂取させ、期間中週1回tail-cuff法にて収縮期血圧(SBP)を測定した。飼料投与終了時、麻酔下にて平均血圧(MAP)の測定を行った。また、昆布および、食酢に浸漬した昆布からアルギン酸ナトリウムを抽出し、ゲル浸透クロマトグラフィーにて分子量分布を測定した。統計分析は分散分析後、多重比較(Tukey法またはHolm法)を行った。分子量分布については重み付き平均値による比較を行った。有意水準は0.05未満とした。【結 果】SBPでは、2K1C-CTL群はSHAM-CTL群と比較して有意に高い値を示した(P<0.001)。また2K1C-CTL群と比較して2K1C-K群(P<0.005)、2K1C-KV1群(P<0.001)、2K1C-KV2群(P<0.001)では有意に低下したが、2K1C-V群では有意な低下は見られなかった。2K1C-K群と比較して2K1C-KV1群、2K1C-KV2群では有意に低下した(P<0.001)。さらに2K1C-KV2群は2K1C-KV1群と比較して有意に低い値となった(P<0.01)。昆布の継続的経口摂取による血圧上昇抑制効果のメカニズムの検討博士前期課程(食物栄養学専攻) 丸山 紗季