ブックタイトル神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

ページ
75/92

このページは 神戸女子大学家政学部紀要 第50巻 の電子ブックに掲載されている75ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

- 71-【序 論】極めて濡れやすい親水性の表面を有する再生セルロースの親水性を制御するためには、溶液からの初期構造を制御しなければならない。したがって、その直前の状態であるセルロースの溶解状態を明らかにする必要がある。セルロースの溶媒については最もシンプルで環境負荷の少ない水酸化ナトリウム水溶液を用いてセルロースの溶解状態について検討した。コンピューターシミュレーションによる研究は、8%の水酸化ナトリウム水溶液中のセルビオース近傍に、溶液の平均的な密度の2倍のナトリウムイオンNa+と1.25倍の水分子が局在化していることを明らかにしている1)。しかし、これはあくまでシミュレーションの中での話であり、実験的には確認されていない一方、近年、清水らは統計力学を用いて、たんぱく質の尿素による変性や、その溶解に関して共溶剤の重要性を説明した2)。この理論は共溶剤であるアルカリの存在が不可欠な、水酸化ナトリウム水溶液へのセルロースの溶解にも展開できると考えられる。そこで、本研究では、この理論をセルロース/アルカリ水溶液系に適用し、セルロースをアルカリ水溶液中に溶解したときの溶媒の局在化を、実験的に明らかにすることを試みた。【理 論】セルロース溶解時の水酸化ナトリウム溶媒の局在化を明らかにするため、本研究では、Kirkwood-Buf(f KB)パラメータを用いて、溶媒分子の局在状態を表すΓij を求めることを目的とする。まず、統計力学から、KBパラメータΓij は、次の式(1)と式(2)のような関係を持つ。?      ?      ここで、Nijはバルク部分と比較してセルロースの近傍にアルカリが過剰に存在している分子の数であり、cij はモル濃度を示す。バルクとは溶媒の平均を指す(図1)。すなわち、KBパラメータΓij は溶媒分子の局在状態を表す。これらの式は図2の動径分布関数から説明できる。これは、溶媒の分布を表しており、1が平均的なバルクの存在状態を、赤は溶質の分布、黒の1より大きい部分がセルロースの近傍に高密度にアルカリが分布していることをあらわす。すなわち、このKBパラメータΓij とは分子の局在、排斥の程度を体積で置き換えたものである。このKBパラメータΓij より得られた値は負の場合はセルロース分子の周辺からアルカリが排斥されていることを示し、正の場合はセルロース図1 局在化の例セルロース/アルカリ水溶液中の溶媒の局在化に関する研究博士前期課程(生活造形学専攻) 奥川 あかり図3 式?ΔGdissolutionと?μの関係図2 動径分布関数g(r)の例