ブックタイトル神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

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神戸女子大学家政学部紀要 第50巻

- 74 -【背景・目的】再生セルロースとは、天然のセルロース原料を一度溶解し、再び凝固させ得たものである。世界的な人口の増加により近い将来発生するであろう綿の需要と供給量の差(コットンギャップ)を解消するためには、綿に代わる繊維が必要となり、再生セルロース繊維が有力であると考えている。しかし、再生セルロースは最も親水性な高分子の一つであり、今までの研究で、再生セルロース(キュプラ)は水分率40%温度25℃のときにガラス転移温度が室温まで低下すること、ガラス転移温度の低さは結晶化度の高さに相関しているということが分かっている。そこで、コットンギャップを埋めるため再生セルロースの構造的な基盤を得ることを目的とし膨潤挙動や結晶性について追求した。【方 法】試料として、ニューセル、キュプラ、レーヨン、綿、麻(ラミー)を使用し、繊維を膨潤させる溶媒として比誘電率80.4の蒸留水、1.9のヘキサン、2.0のシクロヘキサン、20.7のアセトン、24.6のエタノール、32.6のメタノールを使用した。結晶化度・微結晶サイズ、そして膨潤度を測定し、繊維の膨潤状態を検討するために高輝度放射光X線(SPring-8)を利用した。サンプル条件は、上記の溶媒とWet(試料重量の2倍の水を添加)、Dry(絶乾状態)、標準(水分率11%)とニューセルは(水分率100%からの)乾燥過程で行った。【結果・考察】結晶化度は微結晶サイズ ( 綿>ニューセル>キュプラ>レーヨン)と、膨潤度は極性の高さと正の相関があった。SPring-8から得たニューセル繊維の小角二次元散乱像をFig1に示す。赤道線上に違いが表れた。水で膨潤した繊維(Wet)と次いで極性の高いメタノール膨潤の繊維には赤道線上に強度のふくらみが表れ、標準状態やメタノールより極性の低い溶媒で膨潤した繊維は中心部が最も強く徐々に弱くなるプロファイルが観察された。この強度を赤道線上でスキャンし、ビームの中心からの距離である散乱ベクトル(=q)と回折強度の関係をもとめた。現れた回折のふくらみは、結晶と非晶に電子密度の差ができたことを表しており、ふくらみの頂点の位置(=q)による(2×π×n)/ qの式により結晶と結晶の間隔( 周期)を求めた。Fig1. SPring-8 小角二次元散乱像Wet 標準再生セルロースの各種溶媒による膨潤挙動に関する研究博士前期課程(生活造形学専攻) 境野 真奈美