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2008年6月10日

神戸市立須磨離宮公園との「傘亭復元」事業

※写真1実測は三輪先生を中心に神戸大学建築学教室のメンバーによって進められました。 ※写真2杉材の柱。屋根の部材を受けるほぞ穴が見えます。 ※写真3測量結果は手際よく図面にまとめられました。

神戸女子大学は須磨離宮とのCP(キャンパス・パーク)連携の一環として、1914年に建設された「武庫離宮」庭園の傘型四阿舎(通称、傘亭)の復元活動に協力しています。現在、大正3年7月付の「新設工事内訳書」および「新設工事仕様書控」の解読結果をもとに、建築図面の作成準備を進めています。その基本データを集めるために、6月10日火曜日に現存する中央柱の実測作業が神戸大学建築学教室(三輪康一准教授)の協力で行われました。

傘亭は1945年の神戸空襲で六角形の屋根を焼失しましたが、中央の柱はほぼ完存しています。この柱は樹木の質感を模した青銅製の鋳物で造られており、その上部に屋根を支える部材をうけるための直径「一尺五寸」の杉材が使用されています。今回はこの杉材のほぞ穴の位置や大きさ、およびこの杉材と青銅製擬木柱をつなぐ鉄材の位置などを記録しました。また、地面に造られた六角形の「土間」の計測も行いました。

杉柱の直径は43センチで「仕様書控」の記載とほぼ一致しました。しかし、この資料によるとこの杉材は「長六尺」で、「青銅柱ノ頭ノ方ヘ弐尺以上差シ通」すとあるのに対して、実測結果では規定の材料を使ったとすれば、およそ1尺程度入っているにすぎないことが判明しました。

ところで、柱の上部では焼けた痕跡を確認でき、神戸空襲をうけるまでこの建物が存続していた可能性が高くなりました。今回の詳細な記録をもとに、その構造や製作に関する新たな知見が見つかるものと期待されています。

いよいよ傘亭の復元設計に着手する段階が近づいています。傘亭の忠実な復元を目指す試みは、その第一段階を踏み出したことを報告しておきます。なお、今回測量と記録作業にあたっていただいた神戸大学建築学教室の関係者に深く感謝の意を表します。また、写真1・3は須磨離宮公園事務所より提供していただきました。


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