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神戸女子短期大学紀要「論攷」

神戸女子短期大学紀要「論攷」は、神戸女子短期大学における学術研究活動の成果を広く世の中に公表することを目的とした学術出版物です。

最近の情報通信技術の発展に伴い、より多くの研究者に神戸女子短期大学の研究成果を知って頂くため、2002年からはインターネットを利用した電子出版を開始いたしました。


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論攷 第60号

種類 題名 PDFファイル
原著 保育専攻学生における動物と触れ合う経験が保育実践に与える影響 [PDF:530KB]
保育者のレジリエンスと保育者効力感の関連 [PDF:422KB]
乳児の情動の調整における<調整する−される>という関係の検討
−生後半年間における三世代の関わりをめぐって−
[PDF:504KB]
「家族維持」を目的とした子ども虐待ケース在宅支援初期対応における意思決定要因抽出のためのエキスパートインタビュー調査 [PDF:620KB]
ノート ペトリフイルムTMを用いた食品中の乳酸菌数測定 [PDF:573KB]
給食運営管理実習Ⅰ・Ⅱの学生の自己評価からみる理解度の検討
−平成25年度入学生対象の自己評価より−
[PDF:444KB]
資料 乳児保育のテキスト類に見る「教育」について [PDF:602KB]
学生の授業評価における記名式と無記名式の有意差(1) [PDF:940KB]
表現力豊かな演奏をするための自由曲の選択 [PDF:467KB]
パーソナリティーとコミュニケーション様式の自己認識との関連 [PDF:576KB]
女子大生のタグラグビー指導者講習会受講における効果
−幼児・児童の指導方法の理解に関して−
[PDF:888KB]
教養科目「日本の生活文化」受講生の生活文化に対する意識と現状 [PDF:585KB]
本学卒業の栄養士・管理栄養士と交流する体験セミナーが学生の意識に与える影響 [PDF:508KB]
給食施設における食物アレルギー対応に関する実態調査
−保育園、家庭的保育施設等を中心に−
[PDF:743KB]
研究活動 [PDF:606KB]
原著 紫の上と明石の君のあはれ−明石の姫君をめぐり− [PDF:398KB]

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<原著>
保育専攻学生における動物と触れ合う経験が保育実践に与える影響

川村 高弘・永井 久美子


要旨

幼児が身近な動植物と触れ合いやすい環境を積極的に整えて行くためには、保育者自身が積極的に身近な動植物にかかわろうとする姿勢が必要である。しかし、保育者を目指す学生の中には、身近な動植物の中でも特に動物にかかわることに抵抗を感じる者も多い。

そこで、昆虫や小動物に着目し、保育者を目指す学生の幼少期の環境や経験、昆虫や小動物(鳥、魚含む)に対する意識が、動物とのかかわりの中で、子どもに身につけてほしい力や、将来、子どもと一緒に昆虫や小動物としっかりとかかわっていくことができるかどうかといった保育実践への自信とどのような関係にあるのかについて検討を行った。育てたい力の「探究心」 [ 公共心]「思いやりの気持ち」は、動物と触れ合う経験や動物に対する意識尺度の「動物への主体的なかかわり」から影響を受けていることが明らかになった。また、保育実践への自信である「昆虫・小動物に関する保育実践への自信」は、動物と触れ合う経験や動物に対する意識尺度の「昆虫肯定感」から影響を受けていることが示された。

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<原著>
保育者のレジリエンスと保育者効力感の関連

川村 高弘・庄司 圭子・三木 さち子


要旨

目まぐるしく変容する社会情勢を見据え、子どもを取り巻く環境の変化に応じ、保育者が質の高い保育を展開していくためには、高度な保育技術を身につけ、様々な状況に柔軟に対応し、専門職としてのキャリアを形成していかなければならない。そのためにはレジリエンスと保育者効力感が高い必要があろう。そのため、本研究では保育者を対象に質問紙調査を実施し、レジリエンスと保育者効力感の関連を検討した。分析の結果、レジリエンスの因子「楽観的な将来展望と自己肯定感」「成長志向性」「信頼できる他者の存在と充実感」の全てと経験年数とが、保育者効力感の因子「肯定的効力感」に対し、正の有意な関連を示した。また、レジリエンスの因子「信頼できる他者の存在と充実感」が保育者効力感の因子「否定的効力感」に対し、負の有意な関連を示した。

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<原著>
乳児の情動の調整における<調整する−される>という関係の検討
−生後半年間における三世代の関わりをめぐって−

塚田 みちる


要旨

本研究では、子どもの情動の調整を<調整する−される>という関係のありようとして検討した。出産前後に里帰りをして第一子を子育て中の母親と乳児、祖母を対象に、三者の日常生活の場に筆者が出向いて関与観察を行い、そこでの体験をもとにしたエピソード記述を分析対象にした。分析は、観察場面から印象に残った出来事を抽出し、それらに共通して含まれる<調整する−される>という関係のありようを対象とした。その結果、2つのエピソードを提示した。1つめは、子どもの機嫌の良さが母親と祖母の働きかけによってさらに増す様子を示した。2つめは、子どもをなかなか寝かしつけられない母親の対応を示した。これらを読み解いていくと、「間主観的把握」などの「関係発達論」の鍵概念に辿り着いた。新米母親にとって、子どもの情動状態によって母親自身の気持ちが調整されてしまい、自分の思う方向に子どもの情動を調整することの難しさが示唆された。

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<原著>
「家族維持」を目的とした子ども虐待ケース在宅支援初期対応における意思決定要因抽出のためのエキスパートインタビュー調査

畠山 由佳子


要旨

本調査ではエキスパートインタビュー調査を調査手法として用い、児童虐待在宅支援における初期対応について、経験豊富なエキスパートがどのような意思決定構造を用いて、意思決定を行なっているかを探ることを目的としている。結果として抽出したIf-Then ルールをナラティブ化したものを示した。また、考察として、1)安全確認にとどまらない長期的・包括的な視野を持った意思決定、2)家族を支援の中心に置く視点、3)関係機関をうまく巻き込みながら、家族への支援を紡ぎだす主体となる、が初期対応において、家庭相談員として意思決定構造のコアにあることが確認された。

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<ノート>
ペトリフイルムTMを用いた食品中の乳酸菌数測定

逵 牧子・中村 智英子


Abstract

We examined the living cell number of lactic bacteria in foods by anaerobic culture with Petri-filmTM(PFAC). As the reference medium、 the de Man、 Rogosa and Sharpe agar medium (MRSA) and an agar medium with bromocresol purple agar medium (BCPA) were used. When we determined the living cell number of lactic bacteria in various products of pickled vegetables (29 products)、 kimuchi (10 products)、 meats (13 products)、 the cell numbers determined with PFAC showed high correlations with those determined with MRSA and BCPA.

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<ノート>
給食運営管理実習Ⅰ・Ⅱの学生の自己評価からみる理解度の検討
−平成25年度入学生対象の自己評価より−

西川 貴子・竹内 慶江・才新 直子・中野 佐和子・中村 智英子・平郡 玲子


要旨

給食運営管理実習ⅠとⅡの学生の自己評価を検討した結果、具体的目標20項目および総合評価ともに評価点が上昇した。目標20項目の中で平均点が4点以上(かなり理解できた・よく理解できた)の項目が4項目から16項目に増加するなど、ⅠからⅡへの学生の理解度が大幅に上昇し、教育効果が検証された。しかし、役割分担をして進めるというこの実習科目の特徴から経験内容が均等にならず、機械の使い方や伝票整理など、理解度に差が出る項目があり、今後の検討課題であることが示唆された。

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<ノート>
乳児保育のテキスト類に見る「教育」について

永井 久美子


要旨

本研究では、乳児保育のテキスト類を分析することを通して、乳児期の「教育」の捉え方を整理し、その特性を明らかにすることを目的とする。調査結果から5つの点を明らかにした。(1)どのテキストにもページ数の3分の1程度が、遊びや教育について書かれている。(2)「発達に応じた保育」では、保育の養護的側面と教育的側面は、切り離せるものではなく、密接に関連して日々の保育が展開される。(3)「環境との相互作用」では、保育者は、乳児が興味・関心を示すものに感性のアンテナを張りめぐらせ、安心して没頭できる遊びの環境と体験に、共感的にかかわることが重要である。(4)「活動の豊かな展開」では、子ども達の興味・関心、また探究心を思う存分満たせるように環境を準備する事が重要。(5)「5領域」では、保育所保育指針に書いている事をふまえながら、「人間関係」「環境」を中心として、言葉や表現の育ちを支えていく事が示された。

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<資料>
学生の授業評価における記名式と無記名式の有意差(1)

長瀬 荘一


要旨

全学共通教養科目の講義「心理学」の連続した計14回の授業の満足度について、10点法による学生の授業評価を記名式と無記名式で調査した。その結果、記名式群と無記名式群との平均点数の差に関し、計14回の授業のうち3回の授業について有意差が、2回の授業について有意傾向があることが確認された。これら5回のいずれも、記名式による方が高い評価値を示したことから、仮説「学生による授業評価においては、記名式による評価の方が無記名式による評価よりも高い評定値が表れる」は概ね支持された。

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<資料>
表現力豊かな演奏をするための自由曲の選択

廣田 周子


要旨

ピアノ演奏で表現力豊かな演奏を目指すためには、初級者段階から、技術修得に偏らず、表現を目指した多くの作曲家の練習曲や小曲集を積極的に取り入れ、表現することの経験を重ねていくことが重要である。

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<資料>
パーソナリティーとコミュニケーション様式の自己認識との関連

福井 愛美


要旨

コミュニケーションに関する考えや態度には、性格傾向の関与が考えられる。特に内向−外向という特性の影響は大きいものと思われる。この特性は遺伝の影響が50%ほどあると推測されており、他の因子同様その人が持っている先天的な特徴であると言える。このような中で、社会ではコミュニケーション能力が大きく注目され、企業が学生を採用する際にコミュニケーション能力を重視しているという状況では、内向的な人はより大きな苦手感を持ちやすいのは否めないであろう。

本研究はそのような苦手感を持ちやすいであろう内向的な人たちに対して、どのように関わることが、それぞれの性格特徴に沿った教育となるかを検討するための基礎データとして、性格傾向とコミュニケーションに対する意識とを調査したものである。

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<資料>
女子大生のタグラグビー指導者講習会受講における効果
―幼児・児童の指導方法の理解に関して―

古田 貴美子・庄司 圭子


要旨

幼児期に行われる鬼遊びと関連の深いボールゲームであるタグラグビーは、楽しく、短い時間でも運動量が豊富で、多様な遊び方がある。幼稚園教員や保育士等を目指す女子大生が、鬼遊びをタグラグビーの指導や体育の視点から捉えて指導法を学ぶ機会はこれまでになかったが、指導力向上のために、小学校体育で行われるタグラグビーの指導方法を学んだ効果を確かめた。

平成26年8月に開催したタグラグビー指導者講習会を女子大生58名が受講した。受講後に尋ねた5段階の自己評価(達成度)は、タグラグビーやしっぽとり遊びとその指導について全ての項目で平均が4点以上だった。しっぽとり遊びの理解と子どもたちに楽しさを伝えられるとの項目が4.6〜4.8点の評価で、実際に動きながら学ぶ講習方法により、効果が高かったと推測する。また、技能以外にルールを守ることや仲間との協力など子どもたちに身に付けさせたい内容をも体感し理解していることがわかった。

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<資料>
教養科目「日本の生活文化」受講生の生活文化に対する意識と現状

細見 和子・西川 貴子


要旨

教養科目である「日本の生活文化」の受講生の意識と現状を知るため、受講理由や授業内容の理解度、家庭での行事や行事食などの生活文化に対する取り組みについてアンケート調査を行った。その結果、「授業内容の理解度」は項目により差はあったが、全項目の平均点は3点以上(5点満点)で、概ね理解できていると思われた。また、「この授業は役に立ったか」の回答では80%以上が役に立ったと答えていたので、この授業の学習効果はあったと言える。しかし、授業内容によって理解度が異なるので、さらに検討し、学生の理解度がより向上するような授業にしていきたいと考えている。また、日常生活の中での日本の生活文化の伝承は薄らいでいることがアンケート結果より推察された。今後も著者らは、若い世代に授業を通して日本の生活文化への意識を向上させ、伝承していきたいと考える。

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<資料>
本学卒業の栄養士・管理栄養士と交流する体験セミナーが学生の意識に与える影響

本田 まり・西川 貴子・境田 可奈子(本学食物栄養学科卒業生)


要旨

栄養士をめざす学生の意識向上を図ることを目的に、食物栄養学科1年次生を対象に、本学卒業の栄養士・管理栄養士が指導者となって、栄養士として重要な業務である献立作成や調理作業に主眼をおいた交流体験セミナーを実施した。結果、「栄養士の仕事を理解していると思うか」や「献立の立て方を理解していると思うか」等に対する回答に改善がみられ、セミナー前に「思わない」と回答した学生の多くが、セミナー後は「少し思う」「そう思う」の回答に変化した。今回の卒業生との交流を介した体験セミナーは、本学科1年次生の意識に好影響を及ぼすことがわかり、栄養士をめざす学生の意識の向上に貢献することが示唆された。

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<資料>
給食施設における食物アレルギー対応に関する実態調査
〜保育園、家庭的保育施設等を中心に〜

本田 まり・西川 貴子・下山 亜美・永井 久美子


要旨

食物アレルギー児が増加し誤食等の問題も膨らむなか、国や地方自治体はガイドラインの作成や講習会活動を活発に行う等して、保育や学校教育等の現場における食物アレルギー対策への意識を高めている。その中で栄養士は重要な役割を担うが、本学食物栄養学科では将来の栄養士となる学生に対して、食物アレルギーに特化した講義や実習科目を平成26年度より開講した。講義や実習では社会の実態をふまえた内容にするべく、保育園・幼稚園および家庭的・小規模保育施設を対象に、食物アレルギー対策等に関するアンケート調査を行った。結果、その対策は保育園・幼稚園のみならず家庭的保育施設等においても、調理場内外での対策が進んでいることがわかった。また、教育研究機関に期待することとして幾つかの項目に対してニーズがあることがわかり、教育研究機関としての今後の役割が示唆された。

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<原著>
紫の上と明石の君のあはれ
―明石の姫君をめぐり―

武藤 美也子


要旨

 源氏物語の本質は「もののあはれ」にあるという。この論文では明石の君が生んだ姫君をめぐる紫の上と明石の君の「あはれ」について論じる。明石の君は姫君の実母であるが自らの手では彼女を育てることはできなかった。紫の上は子に恵まれず、明石の君の生んだ姫君を預けられる。その二人の心情を追うことによって『源氏物語』の「もののあはれ」を考察する。

全文を閲覧する[PDF:398KB]


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