兵庫県小野市岩倉2号墳へフィールドワーク〈史学科かわら版その17〉

兵庫県小野市岩倉2号墳へフィールドワーク
〈史学科かわら版その17〉

2025.06.13　史学科　齋藤

兵庫県小野市岩倉2号墳へフィールドワーク

　兵庫県小野市の西方・紅山（べにやま）の山麓は、いくつもの古墳が造営されたエリアとして知られています。そのうちの１基である岩倉２号墳は、高さ3ｍ、直径15ｍの円墳で、古墳時代後期（6世紀）に作られました。

注目すべきは、小野市内で現存する古墳のなかで最大級を誇る横穴式石室です。石室の入口から狭い羨道（せんどう）を進んでいくと、死者を葬った玄室が広がります。奥行4.5ｍ、高さは2.8ｍ、壁や天井には巨石がふんだんに使われました。

人々が作り、遺したモノから、私たち人類の歴史を説き起こしていく考古学では、現地に足を運び、過去の人たちが作ったモノを自らの眼と手で観察することが重要です。このフィールドワークは、2回生の基礎演習Ⅱおよび3回生の史学演習Ⅱの学外研修として行われ、古墳時代の人々がどのような順番で石を積み、石室を作り上げたかを観察しました。

そうして、そのような積みあげ方をする作り手としてどのようなバックグラウンドをもつ工人集団が想定できるか、また、この石室だと死者の頭はどの方角に来るか、どのような思想的基盤がその向きに石室を作らせたのかなどを、皆で考え、意見を出し合いました。