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神戸女子大学古典芸能研究センター開設十五周年記念事業
『食満南北著『大阪藝談』』刊行記念講演会

申込制・入場無料

2016年6月11日(土)13時00分〜16時00分

  幕内からまさにびっくりポンの随想原稿がとびだしてきた。戦火をくぐり抜けて七十年ぶりに出現した食満南北の大阪の文化芸談である。何処に消えていても不思議でなかった自筆原稿『大阪藝談』619枚。これが経緯もわからぬまま残されていた。奇跡である。歌舞伎、文楽、落語、上方舞、そして今やその面影を辿ることさえ難しい俄や色町模様にまで及ぶ。はるかな大阪の懐かしさに溢れる内容であった。
  著者は上方きっての劇通であり楽屋通であった食満南北。東京で劇界に身を投じたが馴染めず、帰阪後、十一代片岡仁左衛門、初代中村鴈治郎の付作者として活躍した。鴈治郎の今に語り伝えられるエピソードの殆どは彼の発したところといわれる程、常に大阪芸苑の中心にいた。新たに出現の原稿は、彼の名著『作者部屋から』『大阪の鴈治郎』などと共に、昭和18年頃、三部作、四部作として並行的に書き綴られたものらしい。脱稿後も南北は戦火の中を肌身離さず守り抜いたが、遂に未刊のままに終った。そして戦後、誰人にも気づかれぬまま、今、忽然と姿を現したのである。
  神戸女子大学古典芸能研究センターは今年創設十五周年を迎える。この記念行事の一環として、今回出現の好著を世に送り出すこととした。出版社は大阪の和泉書院。併せ、その出版記念会を別欄のように企画した。
  登壇者を短く紹介すれば、先ず市川海老蔵の『寿三升景清』等で知られる新進脚本家の松岡亮氏。役者に囲まれての狂言作りの実際を講演いただく。続いて三林京子(桂すずめ)氏。「一人噺」と銘打って、文楽一家に育った女優・落語家として、上方芸能の諸ジャンルに亘る見聞経験談を披瀝いただく。
  更に右のお二人をもまじえ、演劇評論家としての立場から毎日新聞社の畑律江氏、食満南北ゆかりの食満厚造氏に加わっていただき、上方文化、上方芸能のこれまでとこれからを、芝居人南北の功績をも顕彰しながら、それぞれの切り口から縦横に語っていただく。トーク題を「「大阪芸能」よもやま談義」とした所以であるが、「大阪は人様が言うほど、文化や芸術に無関心でない」。食満南北の口癖であった。そんなあたりへ収斂出来ればと願う。司会は阪口弘之。

チラシ

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