本研究科では、本学の教育目標である「自立心・対話力・創造性」を培う教育により、対話を通して患者の心、看護の在り方を理解し、創造的な思考で自ら考え、責任ある人間として自立した視野の広い看護職を育成することを目的としています。
地域で暮らす人々の生活を支え健康課題に対応するため、自立して活躍できる高度実践看護者や実践に役立つ看護ケアの開発者、及びコミュニティ・ケアシステムを生み出すことができ、次世代の看護を担う教育者・研究者の育成を目指します。
2015年4月に看護学部を開設し、早4年が経過しました。2019年3月には1期生が社会に羽ばたいていきました。その同じ年の4月に、昼夜開講制の大学院看護学研究科博士前期課程、博士後期課程が開設しました。看護学部・看護学研究科のあるキャンパスは、高度先端医療の拠点として様々なプロジェクトが推進されている神戸市ポートアイランドに位置していることから、地域の特色を活かした教育・研究活動を推進していくことを目指しています。
あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技術を持続的な相互交流を通じて深めていく集団である「コミュニティ・オブ・プラクティス(実践コミュニティ)」の考えに基づき、学年や課程を越えた様々な学習プロセスにある学生間で、学びのコミュニティを形成し、看護学と看護実践を相互に学びあい、教えあう教育方法を学部・大学院を通して取り入れることで、さらに教育の一貫性と継続性、効果的な連続性が保たれると考えおります。
このような教育方法を取り入れている看護学研究科では、地域保健や医療を担う看護モデルの開発や、それに関わる専門看護師(高度実践看護師教育課程認定審査申請予定)及び教育者・研究者の育成を目指しています。
実践に応用できる能力を身につけ、地域で暮らす人々を支援する看護ケアを開発し、看護学の発展に向けて神戸女子大学大学院看護学研究科で学んでみませんか。
看護学研究科長 東 ますみ
入学定員 | 8名(収容定員16名) |
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学位 | 修士(看護学) |
標準修業年限 | 2年 |
その他 |
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生命の尊厳への深い理解と実践科学としての看護の本質を探究する姿勢を育み、卓越した看護実践能力と研究能力の基盤を備えた看護職または、高度専門職業人として社会に貢献できる人材を育成する。
保健師、助産師、看護師のいずれかの免許を取得(見込みを含む)し、次の各項のいずれかに該当する女子とする。
博士前期課程においては2年以上在学し、所定の単位を修得したうえで修士の学位論文(特定の課題についての研究の成果を含む)の審査を受け、最終試験に合格すること。
共通科目 | 高度な看護実践能力及び対象に応じた高い教育能力、研究に必要とされる基本的な能力を育成するための基礎となる科目を配置する。 |
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専門科目 | 高度専門職業人を目指す専門看護師コースでは、専門看護師教育課程の教育内容に準じて科目を配置する。教育・研究者の養成を目指す研究コースでは、高度な実践能力及び対象に応じた高い教育能力、研究の遂行に必要とされる基本的な能力を育成する科目を配置する。 |
※演習・研究科目 | 高度な看護を実践するための知識・技術を修得し、リサーチワークによって研究能力を養うための科目を配置する。 |
研究コース |
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高齢者看護学分野 / 地域看護学分野 / 看護実践デザイン・情報マネジメント分野 / 精神看護学分野 / 女性看護学分野 |
高齢者看護学分野では、高齢者に関する諸理論を概観し、高齢者と家族についての理解を深めたうえで、病院や施設・地域で暮らす高齢者及び家族を対象とした看護について再考します。その上で、高齢者の健康問題や認知症者に対する看護介入、コミュニティでのフレイル予防に関する介入についても学び、これらを通じて超高齢社会を迎えた日本における、健康寿命の延伸から終末期までの幅広い高齢者と家族への看護を探求します。
地域看護学分野では、地域で暮らす人々の生活を支える看護を実践する地域看護学の基本理念に基づき、地域看護学の重要な概念について学びを深めます。さらに、地域看護に関する歴史や政策について学び、地域で展開される看護活動の現象を探求します。また、コミュニティ・アズ・パートナーモデル、PDCAサイクル、地域診断について学びを深め、効果的な地域看護活動の展開方法を考察し、高度な実践および分析能力を養います。
看護実践デザイン・情報マネジメント分野では、効果的な保健・医療・看護活動を展開するための実践コミュニティの開発・育成に必要なマネジメントとコーディネートについて理解を深め、看護サービスを効果的かつ適正に提供するためのマネジメントと政策への反映方略を探究します。また、多岐にわたる看護情報の活用と管理の方法を学び、看護の質改善に役立つ情報管理のあり方や、看護における情報システムの活用について探究します。
精神看護学分野では、精神保健医療福祉の国内外の動向や現状、心の健康の心理学的・社会学的・生理学的視点からの総合的理解、さらに精神健康問題の予防的介入および精神障がいをもつ人やその家族への看護ケアについて理解を深めます。それらの学びをもとに人々のこころの健康増進、あるいは精神的健康問題からの回復とともに、その人らしく生き生きと生活するために必要とされる看護支援を探求します。
女性看護学分野では、女性のライフステージ各期における健康問題・課題とその看護支援について、リプロダクティブ・ヘルス・ライツの国内外の動向や現状、セクシュアリティに関わる健康課題等の理解を深め、女性の生涯にわたる豊かで健康な生活を支援するための看護を探究します。また、周産期にある母子とその家族が親になる過程や子どもと養育者の関係性の構築、母子と社会とのつながりをふまえた看護支援、助産支援を探究します。
専門看護師コース | |
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慢性看護 (慢性疾患看護専門看護師) |
小児看護 (小児看護専門看護師) |
慢性病の予防や治療、管理方法についてのエビデンスの他、リハビリ回復期、寛解・再燃期、ターミナル期など慢性病者の辿る時期に合わせた患者理解と支援技術に関連する理論や概念について、講義や演習を通して学習します。専門領域(サブスペシャリティ)についての実習は、慢性疾患看護専門看護師や教員のスーパーバイズを受けながら展開します。医療施設や地域にいる慢性病者が質の高い生活を維持するための課題について理解を深め、専門看護師としての役割を開発するなど、専門看護師として活動する力を育みます。
子どもの成長発達と、子どもを取り巻く環境についての理解を深め、あらゆる健康レベル、子どもが生活するあらゆる場において、複雑な課題をもつ子どもと家族に対する高度な看護実践を探究します。また、ケアの質向上のための、多職種や関係機関との連携や調整、教育、実践上の課題探究能力を養います。本学では、医療施設だけではなく、地域で活躍する専門看護師の育成を強化しています。小児看護専門看護師である教員が学びのサポートを行います。
看護の対象者や社会のニーズの変化に応じた高度な看護実践が提供される能力、変化に応じた看護ケアが開発できる能力、効果的なケアシステムが開発できる能力、マネジメントに携わることができる能力の修得を目指します。また、地域で暮らす人々の健やかな生活を支えるための看護ケアを開発するために、実践の中から地域が求める看護課題を探求し、エビデンスを活用する能力する能力及び成果を発信する能力を養います。
本学では、職業を有している等の事由から履修や研究の時間が限られる大学院生については、長期履修制度を活用し、計画的に修業できる道が開かれています。
研究コース高齢者看護学分野
研究指導内容の例
研究コース地域看護学分野
研究指導内容の例
研究コース看護実践デザイン・情報マネジメント分野
研究指導内容の例
研究指導内容の例
研究指導内容の例
研究コース精神看護学分野
研究指導内容の例
研究コース女性看護学分野
研究指導内容の例
専門看護師コース慢性看護分野
研究指導内容の例
専門看護師コース小児看護分野
研究指導内容の例
入学定員 | 3名(収容定員9名) |
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学位 | 博士(看護学) |
標準修業年限 | 3年(最大在学年数6年) |
高い倫理観と高度な教育・研究能力を備え、研究活動を通して看護学の発展に寄与する看護系教育機関の教員・研究者または、保健医療福祉施設における実践者や管理者として、社会に貢献できる人材を育成する。
共通科目 | 看護課題を解決するための研究デザイン及び方法を開発できる高度な研究能力を養い、広く分野横断的な視点を養う。 | 看護ケア・教育学分野 / 看護情報システム分野 / 看護政策・マネジメント分野 / 精神健康看護学分野 / 看護病態学分野 / 国際保健学分野 / 高齢者高度実践看護学分野 |
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専門科目 | 広範な看護課題や健康問題について、現在の対策・支援・ケア及び支援システム等の有効性や課題を考察し、援助方法論の創出等、より高度な研究能力を養う。 | |
演習・研究科目 | それぞれの専門領域における新たなエビデンスを創造できる、革新的な研究能力や卓越した教育能力を培う。関心に基づいた看護の問題現象の知識を深めるとともに、自律して研究活動が行える高度な研究能力を養う。 |
実践科学としての看護学の特徴を踏まえて、看護学教育及び看護実践に関連する理論、概念、教育方法、その成果を検討し、実践モデルの開発や教育プログラムの開発につなげていく方略を探求します。オレムのセルフケア看護モデルやベナーのケアリングの概念をもとに臨床知の創出と実践者の育成について学び、それらを持続していくための仕掛けとしての看護専門家コミュニティ育成について実践のフィールドの中で検討します。
情報通信技術(ICT)を活用した看護実践である「遠隔看護」による看護援助技術の確立は、在宅医療の推進を支えていく鍵となるものです。看護情報システム分野では、遠隔看護を発展させるための基礎的能力を養うとともに、看護情報学に関連する概念や理論に関して理解を深めるとともに、多様化している看護実践の場において、対象者や家族、地域に対し、QOLの向上に貢献可能な情報技術を利用した支援方法について探求します。
看護マネジメントを、サービス・サイエンスによる包括的なサービス理論の観点からとらえなおし、利用者にとって価値の高い看護サービスの開発、提供システムの開発、ならびに制度化と普及に向けた取り組みの方略と方術を探求します。サービス・マネジメントと政策・政治に関する基本的な理論を学び、看護サービスの需要とニーズの分析に基づく開発課題の設定と、課題解決の計画ならびに政策提言に必要となる能力を養います。
精神健康看護学分野では、人々の精神的健康の増進、精神健康問題をもつ人の回復を目指し、さまざまな精神健康問題について主に予防的観点から効果的な看護介入方法の開発に取り組みます。周産期メンタルヘルスをはじめ、自らの関心に基づき、研究で取り扱う精神健康問題に関する概念や理論、歴史的背景や関連施策など幅広く知識を深め、人々のQOLの向上と自己実現に貢献しうる新たな看護援助方法について探求します。
患者の抱える病態を深く理解することは適切な医療介入に不可欠です。指数関数的に増加する病態の知識・技術を批判的観点も交えて理解、利用し、思考する方法を学びます。具体的には動脈硬化性心血管病の背景リスクとなる糖尿病、脂質異常症、肥満症、高血圧症などの代謝栄養疾患や、その原因となる内分泌疾患に焦点を当てて、動脈硬化性心血管病への進展予防のための新たなケアやキュアの知見を得、その介入方法についても探求します。
国際保健学分野では、国際保健協力を通じて異文化理解や交流、貧困削減と保健向上等の諸問題、さらにはこれら諸問題改善のための方策を研究します。すなわち、マクロな観点のフィールド調査とラボ研究との多角的・包括的疫学研究が本分野の特色です。加えて、疾病対策の指導や援助を実践する国際保健協力の人材養成も本分野に求められている使命の一つと認識しており、国際的な視野をもち、かつ総合保健医療の一翼を担うことのできる看護専門職者を養成します。
超高齢社会を迎え、人々の関心は健康寿命の延伸から終末期の迎え方まで幅広い分野に及んでいます。高齢者高度実践看護学分野では、これらの課題に対応できる高度実践看護の展開の基盤となる諸理論、それにともなう高度実践看護師の活動を概観し、日本における高齢者高度実践看護を探求します。その上でフレイルやアクティブエイジング、介護する高齢者家族の能力育成などをはじめ、自らの関心に基づく高齢者高度看護実践となる介入方法を探求します。
community of practiceの考え方を用いて、看護実践の知を創り出す研究者コミュニティを形成し、広範な看護課題や国内外の健康問題を解決するための能力を養います。
また、地域で暮らす人々の健やかな生活を支えるためのコミュニティ・ケアシステムの開発や革新的な看護ケアを生み出すことができる研究能力を養います。さらに、看護の成果を教育や政策・制度へ繋げていくことで、価値の高い看護サービスを開発する能力を養うための科目や看護学の学術的発展に貢献できる次世代を育てる卓越した教育能力を修得するための科目を配置しております。
本学では、職業を有している等の事由から、平日の昼間に履修が難しい大学院生については、昼夜開講制や夜間・土曜日の授業及び集中講義などで計画的に看護課程を修業できる道が開かれています。
看護ケア・教育学分野
研究指導内容の例
看護情報システム分野
研究指導内容の例
看護政策・マネジメント分野
研究指導内容の例
精神健康看護学分野
研究指導内容の例
看護病態学分野
研究指導内容の例
国際保健学分野
研究指導内容の例
研究科専攻科 | 課程 | 学位 | 入学金※1 | 授業料 | 教育・施設充実費 | 初年度 合計 |
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大学院看護学研究科 看護学専攻 | 博士前期課程 | 修士 | 20万円 | 60万円 | 15万円 | 95万円 |
博士後期課程 | 博士 |
入学手続時納入金 | 入学半年後納入金 |
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57.5万円 | 37.5万円 |
研究科専攻科 | 課程 | 学納金等(毎年度) |
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大学院看護学研究科 看護学専攻 | 博士前期課程 博士後期課程 |
75万円 |
※1神戸女子大学を卒業し、本学大学院に入学する者には、入学金を半額免除します。また、本学前期課程を修了し、後期課程に進学する者については、入学金を徴収しません。
大学院修士課程及び博士前期課程の学生のうち、特別の事情 ※ により、標準修業年限で課程を修了することが困難な学生に対して、3年または4年にわたって計画的に履修する長期履修学生制度が設けられており、申請することができます。
長期履修学生への登録は出願時に申請してください。採用通知は合格通知とあわせてお送りいたします。また、長期履修学生の授業料は次の表のとおりとします。
※ 職業を有している、または家事・育児・介護等への従事など
研究科 | 費用 | 入学金 | 授業料 | 教育・施設充実費 | 初年度合計 | 学納金等 (毎年度) |
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大学院看護学研究科 | 3年履修 | 20万円 | 40万円 | 15万円 | 75万円 | 55万円 |
4年履修 | 20万円 | 30万円 | 15万円 | 65万円 | 45万円 |
高度な能力を養い、優れた人材を育成するために、毎年審査の上、奨学金を支給いたします。
博士前期課程は、授業料年額の2分の1。博士後期課程は、授業料年額と同額とします。
※ただし、神戸女子大学大学院奨学金と外国人留学生授業料減免の併用はできません。
外国人留学生の経済的負担を軽減し、学業に専念させることを目的としています。減免額は年額400,000円です。
※ただし、神戸女子大学大学院奨学金と外国人留学生授業料減免の併用はできません。
日本学生支援機構貸与奨学規程に基づき、経済的理由により修学に困難がある優れた学生等に対し貸与されます。
貸与終了後は返還の義務が生じます。
貸与月額
奨学金の種類 | 対象区分 | 金額1 | 金額2 | 金額3 |
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第一種 (無利子) |
博士前期課程 | 5万円 | 8.8万円 | - |
博士後期課程 | 8万円 | 12.2万円 | - | |
第二種 (有利子) |
区別なし | 5万円 | 8万円 | - |
10万円 | 13万円 | 15万円 |