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古典芸能研究センターは、行吉学園発祥の地である三宮キャンパス(神戸市中央区)にあります。
能楽資料の橘文庫、民俗芸能資料の喜多文庫をはじめ、古典芸能や民俗芸能に関する書籍・資料を幅広く備えた研究施設です。芸能に関連する様々な分野の資料を収集しており、個別の分野はもちろん、より総合的な調査・研究の拠点となっています。
なお、所蔵する資料は、学生・社会人を問わずどなたにもご利用いただけます。

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最終更新日:2024年10月02日

10月の資料

古典芸能研究センター所蔵の様々な資料の中から、毎月1点紹介します。


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伊藤正義文庫蔵
「狸腹鼓」
(たぬきのはらつづみ)
紙本著色 1枚 大正2(1913)年 玉手菊洲筆

 狂言《狸腹鼓》は、大蔵流と和泉流の現行曲であり、両流派ともに最高秘曲と位置づける作品である。和泉流を参照に大まかなストーリーを記すと、以下の通りとなる。
 ある猟師が、取り逃がした身重(みおも)の雌狸を狩ろうと潜んでいると、夫の狸を探すために尼に化けた雌狸が現われる。尼(実は狸)は殺生を戒め猟師を改心させるが、犬の鳴き声におびえる様子から、猟師に正体がばれてしまう。お腹の子を救うため尼が命乞いをすると、猟師は腹鼓を見せるなら助けようと言い、狸は早替りで尼から狸の姿に戻り、腹鼓を打つ。すると猟師は狸の腹鼓につられ、ともに興ずる。
 狂言《釣狐》(つりぎつね)の影響を受けたとみられる本作は、江戸後期に加賀藩主の命によって作られ、和泉流三宅派が演じようになったと伝わる作品で、「加賀狸」の通称を持つ。一方、大蔵流にも同名の狂言が伝わるが、こちらは、元は喜多流三世七大夫宗能の作を彦根藩主の井伊直弼が改作し、茂山千五郎正虎の型付で嘉永5(1852)年に初演した作品という。「彦根狸」とも呼ばれる本作では、雌狸は身籠もっておらず、最後も狸が隙を見て弓矢を奪い猟師を狙うなど、和泉流とは異なる部分がある。また、大蔵流では作り物を出さず、菊や薄をさした垣の作り物を常に出す和泉流の演出との大きな違いとなっている。
 この絵を描いた、玉手菊洲(たまてきくしゅう、天保4年(1833)生~大正3年(1914)、享年82歳)は、江戸後期から幕末にかけて活躍した大坂生まれの能・狂言画家である。展示品の署名に「九々翁 菊洲」とあることから、菊洲が81歳の大正2年に描かれたものと知られる。



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