
古典芸能研究センターは、行吉学園発祥の地である三宮キャンパス(神戸市中央区)にあります。
能楽資料の橘文庫、民俗芸能資料の喜多文庫をはじめ、古典芸能や民俗芸能に関する書籍・資料を幅広く備えた研究施設です。芸能に関連する様々な分野の資料を収集しており、個別の分野はもちろん、より総合的な調査・研究の拠点となっています。
なお、所蔵する資料は、学生・社会人を問わずどなたにもご利用いただけます。
感染予防・拡散防止のため、ご協力をお願いします
・発熱、咳、喉の痛み、ひどい倦怠感など、普段とは違う症状がある場合は、入室をお控えください。
・原則、マスクの着用と手指のアルコール消毒は個人の判断となります。ただし、基礎疾患をお持ちの方はマスク着用を推奨します。
・咳エチケットにご協力をお願いいたします。
最新情報
- 2025年2-3月の開室日をアップしました。2月28日(金)~3月14日(金)は特別展示のため休室します。
最終更新日:2025年3月14日
3月の資料
古典芸能研究センター所蔵の様々な資料の中から、毎月1点紹介します。
![]() 鎮扇(仕舞扇) 扇面画「五雲に月鵲図」(宝生流) | 扇面画「五雲に月鵲図」(宝生流) 菊井 伯幸氏制作 本図は、塚本家所蔵扇下絵のうち、宝生流の鎮扇(仕舞扇)の図案を、若干のアレンジを加えて復元した扇面画である。塚本家は、江戸後期から近代にかけて京都で扇商を生業としていた家系であり、所蔵される扇関係の資料の中には、明治頃まで能楽扇を中心に扇屋を営んでいた三宅家の旧蔵で、扇屋廃業後に塚本家に移譲されたと伝わる、約640点の扇面画の下絵群も含まれる。それら下絵の大半が江戸時代に描かれたと推測されるが、その中には300点超の能楽扇関係の図案も確認でき、本扇面画はそのうちの1図を元に復元した。 能楽扇のうち鎮扇(仕舞扇)は、中啓に比べ図様の自由度が高くユニークな扇面画が多いが、本図も宝生流の決まり模様である五雲のかかる満月に、飛翔する2羽の鵲をあしらった大胆な構図を持つ。元になった塚本家所蔵の下絵には書入れがあり、扇面の下絵の右上端に「宝生流仕舞扇/本金無地蒔ツブシ/青金五ツ雲(*1)/鵲ニ月両面」、下絵の月部分に「月/銀泥」、同じく雲部分に「雲青金」、その上側の地部分に「地焼金(*2)」と見える。この下絵と近似した別の下絵1点が塚本家所蔵の扇下絵に含まれるが、復元の元にした下絵に比べると、鵲の姿態と位置が若干異なり、満月の大きさや配置にも違いがある。特に、満月のデザインを試行錯誤した様子がうかがえ、1つの能扇の図案が形成されていく変遷が知られ興味深い。なお復元した扇面画では、下絵よりも黒箔(銀箔をいぶして黒くしたもの)を増やし、よりおどろおどろしさを演出した。 *1 「宝生流仕舞扇/本金無地蒔ツブシ/青金五ツ雲」は、金箔を押した地紙に、黒くした銀砂子や破れを散らし、五雲に青金箔(銀が配合された金箔)を押すこと。ただし、扇面画の図案に「地焼金」(注2参照)と書入れがあることから、地紙の金箔の代わりに、色を変化させた銀箔を使用した可能性がある。 *2 「地焼金」はいぶして色を変化させた銀箔を押すこと。ただし、今回の復元では、あえて黒ずんだ金箔を使用した。 |
当サイトのデータについて
神戸女子大学古典芸能研究センターが公開しているすべてのホームページおよびそこに含まれる画像データ・テキストデータ等は、神戸女子大学が著作権を有しており、その扱いは日本の著作権法に従うものとします。これらのデータを、法律で認められた範囲をこえて、著作権所有者に無断で複製・転載・転用することは禁止します。