(イメージ画像)

古典芸能研究センターは、行吉学園発祥の地である三宮キャンパス(神戸市中央区)にあります。
能楽資料の橘文庫、民俗芸能資料の喜多文庫をはじめ、古典芸能や民俗芸能に関する書籍・資料を幅広く備えた研究施設です。芸能に関連する様々な分野の資料を収集しており、個別の分野はもちろん、より総合的な調査・研究の拠点となっています。
なお、所蔵する資料は、学生・社会人を問わずどなたにもご利用いただけます。

最新情報

最終更新日:2026年1月6日

今月の資料 (2026年1月)

古典芸能研究センター所蔵の様々な資料の中から、毎月1点紹介します。
YouTube版 2026年1月「今月の資料」はこちら



資料画像

「籠細工仮寝姿当振舞絵からくり」       
(かごさいくうたたねすがたあたりふるまい       えからくり)


志水文庫蔵 「籠細工仮寝姿当振舞絵からくり」
      錦絵 間倍判 1枚 縦31.4㎝×横42.7㎝
葛飾北洋(かつしかほくよう)画 文政2年(1819)
[大坂]播磨屋五郎兵衛・和泉屋卯作刊

 文政2年(1819)2月から4月にかけて、大坂・四天王寺では、聖徳太子千二百年御忌の法要と、それに合わせた宝物の開帳が行われた。その期間、四天王寺の境内では、さまざまな見世物が催され、その中で、ひときわ人気を集めたのが、大坂の竹籠職人・一田正七郎(庄七郎)が手がけた数々のオブジェであった。一田正七郎は、四天王寺西門の石の鳥居の北に大きな仮屋を建て、そこに竹籠で造った巨大な釈迦の涅槃像を披露した。中心となる釈迦像のサイズは、九丈六尺(約30メートル)にも及ぶ大きさだった。
 この錦絵は、その時の籠細工の見世物を描いた立版古(たてばんこ)であり、切り貼りして組み立てると、パノラマのミニチュア模型が出来上がるよう工夫されている。立版古は組上絵(くみあげえ)や切組絵(きりくみえ)とも呼ばれ、子供が細工してミニチュア模型を作って遊ぶために制作された、いわゆる「おもちゃ絵」の一種である。もとは上方発祥で、江戸時代後期から明治にかけて流行し親しまれたという。横たわる釈迦の近くには、同じく籠細工で作った種々の動物たちも飾られ、錦絵には他にも、虎に乗った達磨、賓頭盧(びんずる)、多聞天、大王、仁王、天女、鬼などが描かれる。この一田正七郎の籠細工は大評判となり、強壮剤「三臓円」で有名な大坂の薬種問屋・吉野五運家の5代目当主庸斎が、「千もとの花ぬし」の名で「絃曲かごさいく」という歌を創作するほどであった。
 ところで、本来、釈迦の入滅は悲しみに包まれているはずだが、この錦絵では、釈迦の夢の中から小判を振り撒く大黒天と恵比寿天が現われ、釈迦の前にいる多聞天や仁王は酒を飲んでいる。また、錦絵には、一般的な涅槃図に必ず描かれる羅漢たちの姿はなく、その代わりなのか、大がかりな籠細工に集まった大勢の見物客らの姿が描かれている。このように見ていくと、この資料は、この時の籠細工の実際の様子を、そのまま錦絵にしたものではなく、この見世物が大当たりを取った、その大入りの目出度い様子を表現するため、敢えてパロディとして描き、立版古のミニチュア模型として楽しめるよう工夫したものと言えるのではないだろうか。
※本資料は、2024年12月に紹介した資料の再掲です。

当サイトのデータについて

神戸女子大学古典芸能研究センターが公開しているすべてのホームページおよびそこに含まれる画像データ・テキストデータ等は、神戸女子大学が著作権を有しており、その扱いは日本の著作権法に従うものとします。これらのデータを、法律で認められた範囲をこえて、著作権所有者に無断で複製・転載・転用することは禁止します。

ページのトップに戻る

学校法人行吉学園

(C) 2008 YUKIYOSHI INSTITUTE. All Right Reserved.